ラボグロウンダイヤモンドの見分け方。天然と見分けられるのか

GUIDE

ラボグロウンダイヤモンドの見分け方。天然と見分けられるのか

2026年08月26日 文:森春菜

「見る人が見たら、分かってしまうのでしょうか」。ラボグロウンダイヤモンドを検討されている方から、いちばん多くいただく質問です。

この問いには、はっきりした答えがあります。そして、その答えが「なぜそうなるのか」まで知っていただくと、たいていの迷いは消えます。安心していただくための記事ではなく、判断していただくための記事として書きます。

THE ANSWER

肉眼でもルーペでも、宝石鑑定士の目でも見分けられません。同じ炭素の結晶だからです。判定できるのは、鑑定機関の分析装置だけです。

結論。肉眼でもルーペでも見分けられません

ラボグロウンダイヤモンドを、肉眼で天然ダイヤモンドと見分けることはできません。10倍のルーペをのぞいても、結果は同じです。

宝石鑑定士であっても、見ただけでは判定できません。経験や目の良し悪しの問題ではなく、判定に必要な情報が、目に見える範囲に存在しないからです。判定は、専用の分析装置を使って初めて可能になります。

方法 判定
肉眼で見る できません
10倍ルーペで見る できません
宝石鑑定士が目視する できません
ガードルの刻印を拡大して読む 刻印があれば読み取れます
鑑定機関の分析装置にかける 確実に判定できます

「専門家なら見れば分かる」という言い方を目にすることがありますが、これは正確ではありません。分かるのは装置であって、目ではありません。

図解:ルーペで覗いても天然とラボグロウンは見分けられない

なぜ見分けられないのか

ダイヤモンドとは、炭素原子が立方晶系の構造で、四方向に強く結びついた結晶のことです。ラボグロウンダイヤモンドも、まったく同じ炭素が、まったく同じ構造で並んでいます。

数値で並べると、こうなります。

化学組成 炭素(C)。どちらも同じです
結晶系 立方晶系。どちらも同じです
モース硬度 10。どちらも同じです
屈折率 約2.417。どちらも同じです
分散(虹色の輝きの強さ) 約0.044。どちらも同じです

石が輝いて見えるのは、光が石に入り、内部で反射し、外へ返ってくるからです。その道筋を決めているのは、結晶の構造と屈折率だけです。このふたつが同じである以上、返ってくる光も同じになります。よく似ているのではなく、光学的に同一です。

宝石学の上でも、両者はどちらも「ダイヤモンド」として扱われます。区別されるのは種類ではなく、生まれ方です。国際的なルールでは、ラボグロウンであることを明示して販売することが求められています。それは品質が劣るからではなく、由来は買う方が知るべき情報だからです。

成り立ちの詳しい話は「図解でわかるラボグロウンダイヤモンド」で、天然との違いは「ラボグロウンと天然、ダイヤモンドはどう違うのか」でご説明しています。

図解:天然とラボグロウンは成分・硬度・屈折率が同じ

ラボグロウンダイヤモンドは、どう生まれるのか

図解:生まれる場所と、かかる時間の違い

判定の話をする前に、どう作られるのかを知っておくと、後の説明がつながります。育て方は、大きく二通りあります。

HPHT法(高温高圧法)

地球の内部と近い環境を、装置のなかに作る方法です。摂氏1300度から1600度、5万気圧を超える圧力をかけ、炭素を溶かした金属のなかで、種となる小さなダイヤモンドの上に結晶を育てていきます。地中で起きていることを、時間だけ短縮して再現する方法だと考えると分かりやすいと思います。

CVD法(化学気相蒸着法)

真空に近い装置のなかにメタンなどの炭素を含むガスを入れ、プラズマで分解して、炭素原子を薄い板状の種の上に一層ずつ積もらせていく方法です。ゆっくりと層を重ねて結晶を成長させます。ブライダル向けの大きな石の多くは、この方法で育てられています。

どちらの方法でも、育つのは本物のダイヤモンドです。そして、どちらの育ち方をしたかは、石のなかに痕跡として残ります。鑑定機関が見ているのは、そこです。

図解:HPHT法とCVD法。ふたつの育て方

鑑定機関は、何を見ているのか

判定の根拠は、美しさではなく、石が育った過程の記録です。主に次のようなものを読み取ります。

01成長の構造結晶が育った方向の跡。紫外線で発光させると模様として浮かびます
02含まれている窒素の状態原子が寄り集まるには、途方もない時間が必要です
03発光のしかた光を当てて分光すると、微細な構造の違いが分かります
04金属の微細な含有物HPHT法で使う金属が、ごく小さく取り込まれることがあります

成長の構造

天然ダイヤモンドは、地中で八面体の方向に結晶が育ちます。一方、HPHT法で育った石は複数の面の方向が同時に育つため、断面に特有の区画が現れます。CVD法で育った石には、層を積み重ねた縞状の跡が残ります。

これらは通常の光では見えませんが、強い紫外線を当てて発光の様子を画像化する装置にかけると、模様としてはっきり浮かび上がります。鑑定機関がもっとも重視する根拠のひとつです。

含まれている窒素の状態

ここが、いちばん本質的な違いかもしれません。

天然ダイヤモンドの多くには、ごく微量の窒素が含まれています。そしてその窒素は、長い時間をかけて原子どうしが寄り集まった状態になっています。この現象には、高温の環境に置かれ続ける、途方もない時間が必要です。数日や数週間では起こりません。

ラボグロウンダイヤモンドには、この状態がありません。CVD法で育った石は、そもそも窒素をほとんど含まないTYPE IIaに分類されるものが多く、HPHT法で育った石の窒素は、寄り集まる前の、ばらばらのままの状態で残ります。

図解:窒素の状態が示す、経てきた時間の差

つまり装置が読み取っているのは、その石が何年ぶんの時間を経てきたかという記録です。見分ける手がかりが「時間」であるというのは、この石をめぐる話のなかで、いちばん正確で、いちばん面白い部分だと思っています。

発光のしかた

石に特定の波長の光を当てると、そのエネルギーを受けて石が発光します。この光を分光して調べると、結晶のなかにどんな微細な構造があるかが分かります。CVD法で育った石にはケイ素に由来する特有の信号が現れることがあり、HPHT法で育った石は紫外線を切ったあとに青緑色の残光を示すことがあります。天然の石には、天然の石なりの特徴が出ます。

金属の微細な含有物

HPHT法では炭素を溶かすために金属を使うため、ごく小さな金属片が石のなかに取り込まれることがあります。天然の石には、まず起こらないことです。

いずれも、専用の装置がなければ読み取れません。裏を返せば、装置にかければ確実に分かります。天然と偽って流通することを心配する必要がない、という意味でもあります。市場に出回る石は、鑑定機関や流通の各段階でスクリーニング装置を通っています。

ガードルのレーザー刻印

装置を使わずに確認できる手がかりも、ひとつあります。

ANNA DIAMONDの婚約指輪の内側に刻まれたPt950とLGD 1.00の刻印

多くのラボグロウンダイヤモンドは、ガードル(石の側面の、いちばん幅の広い部分)に「LAB GROWN」の文字やレポート番号がレーザーで刻印されています。肉眼では見えない細かさですが、拡大すれば読み取れます。鑑定書に記載された番号と照らし合わせれば、手元の石とその記録が同じものであることを確認できます。

この刻印は、隠すためのものではなく、示すためのものです。IGIをはじめとする鑑定機関も、天然とまったく同じ4Cの物差しで評価したうえで、ラボグロウンであることを鑑定書上に明記しています。等級の意味は、天然の石に付くものと変わりません。

鑑定機関ごとの考え方の違いは「ラボグロウンダイヤモンドの鑑定書のいま」にまとめました。4Cの読み方そのものは「ダイヤモンドの4Cの読み方」でご説明しています。

IGIの鑑定書とラボグロウンダイヤモンドのルース

ダイヤモンドではない石との違い

ラボグロウンダイヤモンドの婚約指輪と結婚指輪

ここまではダイヤモンド同士の話でした。世の中には、ダイヤモンドによく似た、まったく別の物質でできた石もあります。こちらは、事情が違います。

モアサナイトは炭化ケイ素という物質です。硬度は9.25で、ダイヤモンドより柔らかく、光の分散はダイヤモンドの倍以上あります。虹色の輝きが強く出るため、慣れた目には光りすぎるように見えます。また複屈折という性質があり、拡大して覗くと石の稜線が二重に見えることがあります。

キュービックジルコニアは酸化ジルコニウムです。硬度は8.5前後で、日常的に使えば表面に細かな傷が入っていきます。そして比重がダイヤモンドの1.6倍ほどあります。同じ大きさなら、持ったときにはっきり重く感じます。

つまり、ダイヤモンドとこれらのあいだには、装置がなくても手がかりが残ります。本当に注意すべき見分けは、天然かラボグロウンかではなく、そもそもダイヤモンドかどうかのほうです。詳しくは「モアサナイト、ジルコニアと何が違うのか」でお話ししています。

「本物ですか」と聞かれたときに

ダイヤモンドかどうかという問いであれば、答えは本物です。炭素の結晶で、硬度は10で、鑑定機関がダイヤモンドとして鑑定書を発行しています。

聞いてくる相手が本当に知りたいのは、たいてい別のことです。天然かラボグロウンか、いくらだったのか。それに答える義務は、どこにもありません。答えたければ「ラボグロウンダイヤモンドです」と言えばよく、それで話は終わります。

ここで補足しておきたいのは、その情報がすでに公開されているという点です。鑑定書に明記され、石にも刻印されている以上、ラボグロウンであることは隠された事実ではなく、記録された事実です。隠していないものについて、説明の準備をしておく必要はありません。

相手の目に届いているのは、炭素の結晶が返した光そのものです。光は、生まれた場所を語りません。

ラボグロウンダイヤモンドの一粒の婚約指輪を着けた手元

なぜANNA DIAMONDは、この石を選んだのか

ここまで、見分けられるかどうかという事実をお話ししてきました。最後に、なぜ私たちがこの石を扱っているのかをお伝えします。

先にお断りしておくと、私たちはラボグロウンダイヤモンドを天然の代わりとして扱ってはいません。新しい時代のダイヤモンドジュエリーとして、ひとつの選択肢としてご案内しています。理由は、大きく三つです。

採掘に頼らないこと

ダイヤモンドを一粒得るために、地中からどれだけの土を動かすことになるか。掘り返された土地は、そのままのかたちには戻りません。ラボグロウンダイヤモンドは、その工程を必要としません。地球から新しく掘り出さずに、同じ物質を手にすることができます。

私たちがこの考え方を石だけに留めていないのは、そのためです。ANNA DIAMONDでは、廃棄された携帯電話やパソコンなどに含まれる金属資源を再活用した、都市鉱山由来のリファインメタルを採用しています。

金や銀は、すでに地球の全埋蔵量の70パーセント以上が採掘済みで、都市鉱山として眠っている量のほうが多いともいわれています。残り少ない天然資源を新たに採掘するのではなく、人類が生み出した廃棄物をジュエリーに昇華すること。それは未来の世代へバトンを受け継ぐ、大切な一歩になると信じています。詳しくは「都市鉱山ガイド」でご説明しています。

由来を、言い切れること

ダイヤモンドの流通は、驚くほど長い経路をたどります。掘り出された土地から、いくつもの国と業者を経て指輪になるまでのあいだに、その石がどこから来たのかは見えにくくなっていきます。国際的な認証の仕組みは整えられてきましたし、近年は追跡技術も進んでいます。その動きについては「天然ダイヤモンドの透明性革命」でまとめました。

そのうえで私たちが大切にしているのは、自分たちが自信を持って語れるかどうかです。ラボグロウンダイヤモンドは、どこで、誰が、どのように育てたかを、私たちがそのままお伝えできる素材です。贈る方が、誰かの手に渡すものだからです。

新しい時代の、ダイヤモンドジュエリーとして

素材選びから生産の背景まで、すべては未来を見据えた選択です。私たちが扱っているのは、安く手に入るダイヤモンドではなく、これから先の時代に胸を張って渡せるダイヤモンドです。

そのうえで、天然を否定してはいません。何億年という時間が一粒に閉じ込められている。その事実そのものに心が動くことは、当然あります。それは価格や合理性で置き換えられる価値ではありません。天然を選ばれる方の判断を、私たちは尊重しています。

マーキスカットのラボグロウンダイヤモンドの婚約指輪

だから、品質の基準は下げません

ラボグロウンダイヤモンドは、等級を落とせば、同じ予算でもっと大きな石を載せることもできます。私たちはその方向を取っていません。

OUR STANDARD

01カラーFカラー以上。無色に分類される範囲から
02クラリティVSクラス以上。肉眼で内包物が見えない範囲から
03カットExcellent。最高評価から
04素材最高品質のTYPE IIaのみを厳選します

一粒0.5カラット以上のダイヤモンドには、IGIの鑑定書をお付けしています。ジュエリーに仕立てるのは、山梨県甲府と東京の工房です。日本有数のジュエリー産地で、職人が一粒ずつ石を留めていきます。

職人がラボグロウンダイヤモンドを留める手元

よくあるご質問

お店に持って行けば、天然かラボグロウンか分かりますか。

分析装置を備えた鑑定機関であれば判定できます。目視やルーペだけでは判定できません。ANNA DIAMONDの石には一粒0.5カラット以上にIGIの鑑定書をお付けしていますので、レポート番号からもご確認いただけます。

時間が経つと、輝きが鈍ったり色が変わったりしませんか。

石そのものが変化することはありません。炭素の結晶構造は、日常の温度や光では変わらないためです。輝きが鈍って見えるときは、皮脂や化粧品の膜が表面についていることがほとんどです。代官山の直営店で、生涯無料のクリーニングを承っています。

ガードルの刻印は、身につけているときに見えますか。

肉眼では見えません。石の側面にごく細かく入っていて、拡大して初めて読み取れる大きさです。

天然と混ぜて売られてしまうことはありませんか。

流通の各段階でスクリーニング装置が使われており、鑑定機関に持ち込めば確実に判別されます。混同したまま流通させることは、技術的にも制度的にも成り立ちにくくなっています。

贈り物にする場合、ラボグロウンだと伝えるべきでしょうか。

鑑定書に明記されていますので、お渡しの際に一緒に添えれば、それが説明の役割を果たします。改めて言葉にするかどうかは、おふたりの関係の問題です。

ご購入後について

一粒ずつ職人が留め、仕上げまで確認したうえでお届けしています。万が一の不具合に備えて、2年間の品質保証をご用意しています。あわせて、7日間の返品対応と、代官山の直営店での生涯無料クリーニングをご用意しています。分割払いは手数料なしでご利用いただけます。

実物をご覧いただけます

光の返り方は、写真では伝わりません。東京・代官山のANNA DIAMOND Galleryでは、ルースもジュエリーも手元に載せてお確かめいただけます。ご予約は不要です。

ラボグロウンダイヤモンドそのものについては「図解でわかるラボグロウンダイヤモンド」で、価格の考え方は「ラボグロウンダイヤモンドの価格」でご説明しています。

東京・代官山のANNA DIAMOND Gallery

CONSULTATION

ご相談は、公式LINEから

予算のこと、サイズのこと、渡す日までの段取り。どんな小さなことでも、担当者がそのままお答えします。ご来店の予約も、こちらから承ります。

公式LINEで相談する

← GUIDE に戻る

あわせてご覧ください