
愛媛県宇和島市。
船を出す人がいます。
ここは、リアス式海岸の穏やかな入り江が続く、日本有数のアコヤ真珠の産地です。冬の冷たい海水が真珠の巻きを締め、独特の艶を生みます。
真珠養殖の仕事は、夜が明ける前から始まります。真珠を我が子のように育てる人たちの、一日の始まりです。
収穫の一割だけ。
アコヤ真珠は真珠の王様と呼ばれ、長いあいだ、まん丸で真っ白であることだけが美しいとされてきました。そのため、淡い色味や気まぐれな形のものは、漂白や加工によって整えられてきました。
色や形が個性的な真珠は宝飾品として認められず、九割の真珠は、表舞台に出てくることがありませんでした。
光り輝いて見えるのです。
けれど視点を変えると、長い年月を経て育った、一粒一粒の個性こそが宝物であることに気が付きます。まるで人間のように、みんなと同じ真円でいることよりも、枠におさまりきらない、いきいきとした個性の方が、私には光り輝いて見えるのです。
ANNA DIAMONDでは、そうした真珠の個性をそのまま活かしてジュエリーに仕立てています。ですから、私たちがお届けする真珠のジュエリーは、あなたと同じように、世界でひとつの特別な存在です。
みんな違って、みんな良い。
浜揚げに伺います。
毎年冬になると、デザイナー自身が、愛媛県宇和島市の真珠養殖職人さんのもとへ向かいます。松山空港から車でおよそ一時間。美しい海と山に囲まれた、真珠養殖にふさわしい場所です。

ある年は、ぷっくりと大粒の「越物」が多く揃っていました。「越物」とは、冬を二回も乗り越えた真珠のことです。二度の冬を越すのは簡単な話ではなく、その分、困難も倍になります。
その背景には、養殖職人さんのとてつもなくきめ細やかな気配りがあります。日々変わる海とアコヤ貝の状態を見極めて、その場その場で最善の対応を重ねていく。毎朝、潮の状態を確認し、そのつど、より健やかに貝が育つ海域へ連れて行く。
教科書のように正解があるわけではありません。長年の経験値と、真珠への強い愛情こそがものを言います。

粒が大きいと、その個性もより際立ちます。意気揚々と今にも踊り出しそうな、立派な羽が輝く真珠。自然光と室内光で表情が瞬く間に変化する色合い。真珠といえば白を想像する方が多いと思いますが、実際には、ほんのりピンク、グリーン、アイスグレーと、驚くほど多様な色合いが揃っています。
そうして太陽の光の下で選んだ真珠を、日本国内の工房で、熟練の職人が一点ずつ仕立てます。ふくらみ、くびれ、しずくのかたち。同じものは二度と採れないため、お手元に届く一粒は、写真のその子です。
着ける人ごとに、違う光になります。
Afterglow Project真珠を採ったあとの、貝殻のこと
真珠を取り出したあとの貝殻は、どこへ行くのでしょうか。海の中で長い時をかけて育まれた貝殻は、その役割を終えたあと、ほとんどが産業廃棄物として処分され、埋立地を圧迫する要因となっています。
この現実を知った私たちは、貝殻の新たな活用方法を探し続けてきました。洗浄し、乾燥させ、粉砕する。膨大な時間と労力のかかる工程を、ブランドチーム自らの手で行いました。



そうして貝殻は、漆喰に生まれ変わりました。代官山のANNA DIAMOND Galleryの壁は、この漆喰で塗られています。調湿、消臭、抗菌の性能を持ちながら、消えゆくはずだったものが次の姿になった物語を、そのまま伝えてくれます。
Hodoku貝殻から生まれた器
もうひとつの答えが、九谷焼の釉薬でした。九谷焼の製土を70年間手がける谷口製土所の三代目、谷口浩一さんとの出会いから始まりました。塩分を抜く方法、細かく砕く方法。ひとつずつ壁を越えて、貝殻は釉薬になり、器になりました。




























