きらりと輝くあこや貝。
真珠を取り出したあとのこの貝殻は、どこへ行くのでしょうか?
海の中で長い時をかけて育まれた貝殻。
その役割を終えた後、ほとんどが産業廃棄物として処分され、埋立地を圧迫する要因となっています。
この現実を知った私たちは、約2年前から貝殻の新たな活用方法を探し続けてきました。
その試みのひとつが、貝殻を粉砕し、陶芸の釉薬として活かすことでした。参考記事はこちら
しかし、それだけではすべての貝殻を活かしきることはできません。
さらなる可能性を求め、新たな活用方法を模索し、ついに「漆喰」を作ることができました。
貝殻を漆喰へ—新たな”昇華"の挑戦
貝殻の主成分である炭酸カルシウムは、さまざまな用途に活用できる可能性を秘めています。
しかし、そのまま使うのではなく、「純粋な炭酸カルシウム」として生まれ変わらせるためには、いくつもの工程を経なければなりません。
特に、貝殻を一つひとつ丁寧に洗浄し、乾燥させ、粉砕する過程には膨大な時間と労力が必要です。
今回の漆喰壁製作では、ブランドチーム自らが貝殻の清掃を行い、真珠の産地周辺の自治体や国内の焼成工場と連携しながら、粘り強く解決策を探り続けました。
洗浄し、乾燥させ、粉砕する。
その結果、貝殻を漆喰塗料へと生まれ変わらせることに成功しました。
ちなみに、今回、直営店で使用している漆喰は、昨年8月にローンチした [TWO WHEELERS' FLAT] のイベントで、ご来場くださった皆様に踏んでいただいた真珠の貝殻から作ったものです。
踏んで、粉砕してくださった皆様、ありがとうございました。
ANNA DIAMOND Galleryに宿る、貝殻の記憶
この漆喰は、2025年2月14日にオープンするANNA DIAMONDの直営店に使用されています。
壁にそっと顔を近づけてみてください。
きらりと光る、小さな貝殻のかけらが見つかるかもしれません。
この漆喰は、調湿・消臭・抗菌性を持ちながら、
消えゆくはずだったものの"昇華"の物語を私たちに伝えてくれます。
未来へ向けて
今回の取り組みはプロジェクトベースであったため、私たち自身の手で貝殻を洗浄し、形にすることができました。
けれど、理想はまた先にあります。
より環境的にも経済的にも持続可能な仕組みを整え、廃棄される貝殻をより多く活用できる未来を築くことできたらーー。
自然が育んだ美しい素材を、無駄にすることなく次の形へ。
これからも、私たちは挑戦を続けてまいります。
ANNA DIAMOND Founder / Designer
森春菜