9月末、フランス・パリにて展示会を開催しました。
東京の暖かな秋を過ごしていた私には、
冬の入口のようなパリの冷たい空気が新鮮で、自然と背筋が伸びるような感覚でした。
この時期のパリは、ちょうどファッションウィークの真っ只中。
華やかな緊張感に包まれた街は、いつもより少しだけ時間が早く流れているように感じられます。
日本からパリに到着すると、最初の数日間はジェットラグで早朝5時ごろに目が覚めます。
滞在先のベランダに出ると、レースのように美しい装飾が施された手すり越しに、
まだしんと静まり返ったパリの街が広がっていました。
一杯のコーヒーを手に、冷たい空気を胸いっぱい吸い込むこの時間は、
私にとって特別なひととき。
「この滞在で、どんな可能性が広がるのだろうか。」
そんな少しの緊張感と、大きな期待を胸に、
静けさの奥に隠れる、鳥の声や、子供たちの笑い声に耳を傾ける。
この時間は、フランス滞在中のルーティンとしてすっかり定着しました。
今回も、マレ地区の公園近くにあるギャラリーでの開催でした。
フランスでのイベントはこれで3回目。
一回目から何度も足を運んでくださる方との再会に温かい幸せを感じ、
初めて訪れてくださる方との新しい出会いにきらきらの期待を感じる。
回を重ねるたび、展示会のたびに感じる感情の層が少しずつ厚みを増していくのを実感しています。
さて、この展示会で伝えたかったのは、ジュエリーの奥に息づく物語です。
私はコピーライターとしてキャリアを積んできたこともあり、
言葉で伝える力を信じています。
そのため、今回もジュエリーブランドの展示会とは思えないような、文章量を用意しました。
英語と日本語、それぞれの言葉が持つ微妙なニュアンスを越えて、
最大限の純度で想いを届けることができたのではないかと思います。
展示会で最も多くいただいた感想は、
「見過ごされてきた素材をジュエリーに昇華する、その発想が面白い」というものでした。
中には、「こんな素材はどう?」とアイデアを提案してくださる方もいて、
会話を重ねるたびに可能性の広がりを感じました。
素材が持つ背景とその未来。私たちが探求するテーマは、まだ尽きる気配がありません。
2025年に向けて、パリだけでなく新しい土地でも展示会を開催する準備を進めています。
国境や言葉を越え、共感を通じて広がるコミュニティを築くこと。
それが私たちの目指す未来です。
今回の展示会で出会えた方々、そしてそこから得た学びに深く感謝しています。
また新しい土地でお会いできる日を心より楽しみにしています。
ANNA DIAMOND Founder / Designer
森春菜